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受診する

このページは、実際の段取りを書いたページです。誰に相談するか、口に出したあと何が起きるか、最初の答えが物足りなかったときにどうするか。

正面から描いた戸口。開いた口から光が差し込み、床の上を手前に伸びている。一人がそこに立ち、外へ歩き出そうと向きを変えている。

先に、足りないものから。このページで引用する日本の資料は、保険制度、受診の仕方、診療科、心理職の資格について書かれたもので、排尿恐怖症(paruresis)について書かれたものではありません。このページで引く資料のうち、この病気を名指しで扱っているのは、オーストラリアの家庭医の学会誌に載った一本の論文だけです。だからこのページは、どの文がどの国の話かを、そのつど書きます。制度のことは日本の資料から、証拠のことは論文から、と分けて書きます。

紹介状がなくても、自分で選んで行けます

日本には、受診の前に通さなければならない窓口がありません。厚生労働省は、国民皆保険制度の特徴の一つとして「医療機関を自由に選べる。(フリーアクセス)」と書いています。[厚労省 医療保険] 泌尿器科でも精神科でも、診療所であれば紹介状なしで直接行けます。大きな病院にかかるときに紹介状がどう関わるかは、次の段落のとおりです。

紹介状が意味を持つのは、大きな病院にかかるときの費用です。厚生労働省は、紹介状を持って受診することに重点をおく医療機関について、「紹介状のありなしにかかわらず、受診は可能ですが、紹介状がなく来院された場合は、一部負担金(3割負担等)とは別の「特別の料金」が原則必要となります」と説明しています。[厚労省 紹介受診重点医療機関] 対象は、特定機能病院と、一般病床 200 床以上の地域医療支援病院と、一般病床 200 床以上の紹介受診重点医療機関です。[厚労省 令和8年度改定] 直近の診療報酬改定の資料の表では、そこでの定額負担は初診で医科 7,000 円と記され、[厚労省 令和8年度改定] 「今改定では変更なし」とされています。[厚労省 令和8年度改定] 厚生労働省の患者向けリーフレットの表では、この医科の「特別の料金」は 5,000 円以上から 7,000 円以上に引き上げられていて、[厚労省 患者リーフレット] 7,000 円は下限です。実際の額は病院ごとに決められています。

つまり、この料金の対象になる病院では費用が変わります。制度の上で受診が閉ざされているわけではありませんが、初診の受け付け方(予約制かどうか、紹介状を求めるかどうか)は病院ごとに違うので、行く前にその病院の案内を確かめてください。そしてこの料金は上に挙げた種類の大きな病院の話で、近くの診療所には関わりません。背景を書いておくと、「特別の料金」は、厚生労働省が「選定療養」と呼ぶ仕組みの一つです。選定療養とは「保険外併用療養のうち、将来的な保険導入を前提としないもので、患者の選択により特別の料金を支払うことで保険外の診療と保険診療を併用するもの」で、[厚労省 保険外併用療養費] 保険医療機関及び保険医療養担当規則は、選定療養として厚生労働大臣の定める金額以上の支払いを求める措置を定めています。[療養担当規則] 特定機能病院とは、医療法で、高度の医療を提供する能力などの要件に該当し、厚生労働大臣の承認を得た病院のことです。[医療法]

かかりつけ医という言葉もあります。厚生労働省の「上手な医療のかかり方.jp」は、かかりつけ医を「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義し、[厚労省 上手な医療のかかり方] 「一人に決める必要はありません」、[厚労省 上手な医療のかかり方] 「どの診療科の医師でもかかりつけ医になります」と書いています。[厚労省 上手な医療のかかり方] ふだん通っている医師がいるなら、そこから話を始めるのも一つの道です。オーストラリアの論文も、家庭医を出発点に置いています。

家庭医は、これらの状態を見つけ、恥ずかしさや気まずさの感情を和らげ、心理的介入への道を開くうえで役割を担っている。心理的介入は、排尿恐怖症および/または排便恐怖症とともに生きる人に大きな利益をもたらす可能性が高い。

[Kuoch 2019]当サイト訳。

論文は排尿恐怖症と、排便についての同じ状態(排便恐怖症、parcopresis)をあわせて扱っています。

泌尿器科:まず体の原因を

同じ論文は、体の原因を先に見るべきだと書いています。患者は「排尿恐怖症および/または排便恐怖症の診断が下される前に、解剖学的または生理学的な異常について診察を受けるべきである」。[Kuoch 2019] 誰がそれをするかは書いていません。

日本で泌尿器系を診る科は泌尿器科です。日本泌尿器科学会の一般向けページは、「排尿(困難)症状は、男女ともに起こり、原因としては様々なものがあります」と書き、生活に支障がある場合には「泌尿器科専門医を受診していただければ、原因を明らかにして、薬物治療を含む治療法の説明を受けるとともに生活の注意点も指導してもらえます」と案内しています。[日本泌尿器科学会] このページが挙げている原因は体の病気で、排尿恐怖症の名前はありません。同じ学会は、症状や疾患の詳細は「直接、泌尿器科専門医にご相談されることをお勧めします」とし、[日本泌尿器科学会] 専門医の所属する病院を都道府県別に検索できる「専門医教育施設紹介」のページを設けています。[日本泌尿器科学会]

ここにあるのは別々の二つの事実で、一つにつながった話ではありません。体の原因は先に除外されるべきだということ。そして泌尿器科は泌尿器系を診る科だということ。当サイトが読んだ資料のどれも、排尿恐怖症を泌尿器科へ送ってはいません。当サイトもこの二つをつなぎません。女性にも同じことが当てはまります。学会のページが書いているとおり、排尿の症状は男女ともに起こるもので、案内されている受診先も男女で変わりません。

精神科:こころの病気を診る科

論文が最初に挙げる治療は心理的なものです(原文はこのあと引きます)。こころの病気を専門に診る科は精神科です。厚生労働省の若者向けメンタルヘルスサイトは、「「精神科」、「精神神経科」と名前は違いますが、実質的にやっていることは同じです」と説明しています。[厚労省 こころもメンテしよう] 看板には「心療内科」という科名も並びます。同じ厚生労働省のページは、心療内科は「心身症」をおもな対象とするとしたうえで、「「心療内科」とあっても、実際にはこころの病気を診ている医療機関もあります」と書いています。[厚労省 こころもメンテしよう]

ここで引いたどの科のページも、排尿恐怖症の名前は出していません。あなたの状態がどこに当たるかは、診た医師の判断であって、このページの判断ではありません。

最初の一言がいちばん難しい

同じ論文の著者たちが、その理由を書いています。

スティグマと、症状が恥ずかしいものだという認識の結果として、患者は排尿恐怖症や排便恐怖症の問題を臨床医に持ち出すのをためらい、打ち明けないことを選ぶかもしれない。

[Kuoch 2019]当サイト訳。

声に出して切り出さなくても構いません。

この一枚を医師に渡す

代わりに言ってくれる一枚です。この病気が何か、どのくらいの人にあるか、話す価値のある三つのこと。印刷するか、スマートフォンで開いて、机の向こうに渡せます。

まず何が提案されやすいか

論文は最初に置く治療を名指しし、その文の中に自分の留保も残しています。

排尿恐怖症と排便恐怖症の心因性という性質を踏まえると、心理的介入が第一選択の治療になる可能性が高い。臨床試験はまだ行われていないものの、認知行動療法(CBT)は役立つ可能性が高い。ほかの不安に基づく状態(例:社交不安症、限局性恐怖症)の治療で有効性が知られているからである。

[Kuoch 2019]当サイト訳。

留保を読み取ってください。「可能性が高い」であり、臨床試験はまだありません。論文は自分たちの症例を一つ示しています。「患者は心理士に紹介され、その心理士が 20 回の認知行動療法を提供した」。[Kuoch 2019] これは一人の話で、あなたが受けることになる回数ではありません。

公表された一症例は、治療の回数の目安ではありません。紹介先がどの職種だったかは書いてあり、ほかの人がどれだけ必要かは何も書いていません。

三人が列に並んでいる。小さく描かれ、地面の線は絵の右端の外へ延びていく。

認知行動療法と健康保険

日本では、認知行動療法は診療報酬の項目として健康保険の中にあります。医科診療報酬点数表の「認知療法・認知行動療法」は、一連の治療について 16 回に限り算定され、[医科診療報酬点数表] 「診療に要した時間が30分を超えたときに限り算定する」とされています。[医科診療報酬点数表] 医師が行う場合のほか、「公認心理師による心理支援を伴う場合」の区分があります。[医科診療報酬点数表]

厚生労働省の留意事項通知は、この項目の対象を定義しています。「認知療法・認知行動療法とは、入院中の患者以外のうつ病等の気分障害、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、神経性過食症又は不眠症の患者」に対する精神療法です。[厚労省 留意事項通知][厚労省 留意事項通知] 排尿恐怖症はこの列挙にありません。社交不安障害はあります。あなたの状態がこの列挙のどれかに当たるものとして扱われるかどうかは、診た医師の判断であって、当サイトが決めることではありません。このページは、通知が何を列挙しているかを書くだけです。

誰が何をするか:公認心理師、臨床心理士、カウンセラー

三つの言葉は同じではありません。

公認心理師は、法律(公認心理師法)が定める資格です。公認心理師法は、公認心理師を「第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者」と定義しています。[公認心理師法] 名称は法律が守っています。日本公認心理師協会のページが平たく言い直しているとおり、「公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。また、その名称中に心理師という文字を用いてはならない、と定められています」。[日本公認心理師協会]

臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定資格です。協会自身は臨床心理士を「臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”」と説明し、[日本臨床心理士資格認定協会] 「臨床心理士になるには、当協会の資格試験に合格することが必須条件となります」と書いています。[日本臨床心理士資格認定協会] 協会は心理学関係学会の協賛で発足し、内閣府認可の公益財団法人に移行した団体です。[日本臨床心理士資格認定協会] 日本臨床心理士会は、臨床心理士を「(公財)日本臨床心理士資格認定協会の認定を受けて、臨床心理学に基づいた知識と技術で援助する心理専門職」と説明し、[日本臨床心理士会] 「一定の研修を条件に5年ごとに資格を更新する義務があります」としています。[日本臨床心理士会] 法律で名称が守られているのは公認心理師のほうで、臨床心理士は法律ではなく協会の認定です。

カウンセラーという名称を定める法令は、当サイトが読んだ中にはありません。厚生労働省の若者向けサイトは、こころの診療におけるカウンセリングを「医師やカウンセラーが心の悩みを聞き、こころの専門家としての視点から指導や援助を行う治療」と説明していますが、カウンセラーの資格については何も書いていません。[厚労省 こころもメンテしよう] 公認心理師法が守っているのは、「公認心理師」と「心理師」という名称です。

医師を通さずに、公認心理師や臨床心理士の心理支援だけを健康保険で受けられるかどうかについては、日本の一次資料は見つかりませんでした。

無料の公的な窓口

受診すべきかどうか分からないときのために、公的な窓口があります。厚生労働省の若者向けサイトはこう書いています。

こころの健康状態が気になるけれども、医療機関を受診すべきかどうかわからないときがあります。そんなときは、近くにある公的な相談窓口を利用してみましょう。 地域の保健所や保健センター、都道府県・指定都市に設置されている精神保健福祉センターなどにあります。

[厚労省 こころもメンテしよう]

同じページは「相談はいずれも無料で、秘密も守られます」と書いています。[厚労省 こころもメンテしよう] 精神保健福祉センターは、精神保健福祉法が都道府県に置くと定めた機関で、[精神保健福祉法] 保健所が扱う事項には、地域保健法で「精神保健に関する事項」が挙がっています。[地域保健法] 病院の探し方についても、同じ若者向けサイトは「保健所や精神保健福祉センターの相談窓口(参照: こころの相談窓口 )で紹介してもらうこともできます。かかりつけにしている医師がいれば、その医師を通じて適した病院を紹介してもらうこともできます」と書いています。[厚労省 こころもメンテしよう]

通院の医療費については、自立支援医療(精神通院医療)という制度があり、精神疾患で「通院による精神医療を継続的に要する病状にある者に対し、その通院医療に係る自立支援医療費の支給を行う」ものです。[厚労省 自立支援医療] 対象になるかどうかは診断によるので、このページは決めません。

提案されたのが「リラックス」だけだったら

実際にある返事ですが、そこで道が終わるわけではありません。

オーストラリアの論文も、気持ちを落ち着ける取り組みに触れています。ただし治療の代わりではなく、そのあとに置いています。「マインドフルネスを含むストレスマネジメントなど、ほかの心理面に焦点を当てた方策も、より適応的な感情調整を促し、ひいては不安による覚醒を和らげるかもしれない」。[Kuoch 2019] これは論文自身の言葉で、「リラクゼーション」という語はそこにありません。ここで、そうした取り組みが効かないと言っているわけでもありません。要点は順序です。追加の方策として書かれていて、最初の治療としては書かれていません。

セカンドオピニオンを求めるのは、実際にできることです。ここで引くのは、二つの外国の保健当局が自分の国の患者に向けて書いた文で、日本の話ではありません。イングランドの NHS は「見落とされている基礎疾患があると思うなら、セカンドオピニオンを求めることができる」と書いています。[NHS 2024] これは医学的に説明のつかない症状についての NHS のページにある文で、排尿恐怖症のページではありません。道があり、求めるのはあなただ、ということを示しています。

オーストラリアの healthdirect はもっと強く書いています。

別の専門医にセカンドオピニオンのために紹介してほしいと、担当医に頼むのを恐れてはならない。セカンドオピニオンは、安心を得たり、別の見方を得たりする助けになる。あなたには、望むだけ何度でも意見や紹介を求める権利がある。

[healthdirect 2023]当サイト訳。

カテーテルの話を出したいなら

間欠自己導尿(ISC)が自分に合うかどうかを知りたい人がいます。誰が教え、誰が処方の責任を持つかは書けます。排尿恐怖症に使われるとは書けません。そう述べた資料を当サイトは引けないからです。だからそれは、要求ではなく質問として診察室に持ち込むもので、答えは担当の医師のものです。

欧州泌尿器科看護協会(EAUN)はこう書いています。そのガイドラインは間欠導尿(IC)という広い言葉で書かれていて、ISC はそれを自分で行う形です。教わるものであって、一人で始めるものではありません。「IC は適切な経験をもつ看護師が指導すべきである」。[EAUN 2025] ガイドラインはこの一文に自らの最も低いエビデンスレベルを付けていて、その表はそれを「専門家委員会の報告や意見、あるいは権威ある専門家の臨床経験から得られたエビデンス」と定義しています。[EAUN 2025] ほかの点は率直です。「IC に関する患者と介護者への教育には合意された基準がなく、適切な訓練を受けた看護師だけが指導を行うべきである」。[EAUN 2024] 場所については、「IC の指導は患者の自宅でも病院でも行いうる。どちらの場所でも、患者のプライバシーが最優先である」。[EAUN 2024] そして誰が処方できるかは「法域と各医療機関の方針によって異なる」。[EAUN 2025]

日本での薬機法上の区分と、診療所を通じてカテーテルが手に入る仕組みは、別のページにまとめています。

カテーテルの用品

カテーテルの話がすでに出ているか、通販サイトで探し始めているなら、表示と規則は別のページに全部あります。このページでは繰り返しません。

本物のカテーテルと危険なものの見分け方

診療所を通じて用品がどう手元に届くか、日本での区分と診療報酬、そして確かめられていないことも、そこにあります。

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