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先生へ:排尿恐怖症(paruresis)について

この一枚をお渡しするのは、口に出して言いにくいからです。

これは何か

排尿恐怖症とは、他者から注視されていると感じる恐怖のために、人がいる場所で排尿を開始または継続できないことをいう。

[Kuoch 2017]当サイト訳。

つまり、誰かがいるか、入ってくるかもしれないと、私は排尿を始められず、続けられません。公衆トイレ、職場、病院で、来客があれば自宅でも起こります。

内気なのでも、選んでいるのでもありません

大事な言葉は「できない」です。何も出ず、がんばっても出ません。わざとでも、拒んでいるのでもありません。

多くの場合、口に出されないままになります。

スティグマと、症状が恥ずかしいものだという認識の結果として、患者は排尿恐怖症や排便恐怖症の問題を臨床医に持ち出すのをためらい、打ち明けないことを選ぶかもしれない。

[Kuoch 2019]当サイト訳。

だからこの一枚をお渡しします。(排便恐怖症(parcopresis)は、排便で起こる同じものです。)[Kuoch 2019]

どのくらいよくあるか

系統的レビューの報告です。

排尿恐怖症の有病率は 2.8 から 16.4% の範囲にあり、排尿恐怖症のある人のおよそ 5.1 から 22.2% が社交不安症も併せもっていた。

[Kuoch 2017]当サイト訳。

同じレビューは慎重です。

排尿恐怖症の有病率についてはほとんど分かっておらず、排尿恐怖症のより厳密な研究が必要である。

[Kuoch 2017]当サイト訳。

女性にも男性にもあります。大学教職員・学生 356 人の英国の調査、「女性 221 人(62.1%)、男性 119 人(33.4%)、その他の性 16 人(4.5%)」[Hutchings 2024] では、「軽度」の排尿恐怖症の調整オッズは「女性より男性で高かった(OR 3.39、95% CI 1.90 から 6.06)」。[Hutchings 2024] 男性に多くても、男性だけではありません。著者らの注記です。「この標本は動機づけの高い人々である可能性があり、より広い集団には一般化できないかもしれない」。[Hutchings 2024]

相談したい三つのこと

1. 段階的曝露療法または認知行動療法(CBT)を受けられる先への紹介。オーストラリアの家庭医の学会(RACGP)の雑誌の言葉です。

……心理的介入が第一選択の治療になる可能性が高い。臨床試験はまだ行われていないものの、認知行動療法(CBT)は役立つ可能性が高い。……

[Kuoch 2019]当サイト訳。

101 人を週末のワークショップの段階的曝露療法で追跡した研究の報告です。「結果は、段階的曝露療法が自己報告による排尿恐怖症の症状の全般的重症度を改善し、その改善が 1 年後の追跡時にも維持されていたことを示唆している」。[Soifer 2010] 紹介先としては、精神科または心療内科を考えています。

2. 間欠自己導尿(ISC)の指導が私に合うか。避けられない場面、たとえば長時間のフライトのためです。お尋ねしているだけで、処方をお願いしているのではありません。普通そのために処方されないのは承知しています。欧州泌尿器科看護協会(EAUN)のガイドラインの一覧は「急性または慢性の尿閉」から始まり、これを含みません。[EAUN 2025] 私の理解では、不安の治療ではなく、その場面をしのぐ手段です。違っていればご指摘ください。独学ではなく教わるものです。「IC は適切な経験をもつ看護師が指導すべきである」。[EAUN 2025] 私に向かないなら、そうおっしゃってください。

3. 薬に役割があるか。手元の唯一の記述は「薬物療法も補助として適切かもしれない」です。[Kuoch 2019] 特定の薬は求めていません。先生のお考えを伺いたく思います。

ただ、その前に。排尿恐怖症が疑われる患者は、診断の前に「解剖学的または生理学的な異常について診察を受けるべきである」。[Kuoch 2019] 身体的な原因の除外をお願いします。同じ雑誌は、排尿恐怖症を機能障害性排尿(DV)から、起こる場所で見分けています。排尿恐怖症は「慣れない、あるいは混み合った公衆トイレに限られる」。[Kuoch 2019] 一人なら普通に出せます。どこでも困るなら、別のことです。薬もご確認ください。尿閉は「抗コリン作用をもつ薬剤」、中でも「抗うつ薬」、そしてオピオイドで報告されています。[Verhamme 2008]

健康診断のとき、入院のとき

労働安全衛生規則は、雇入時と定期の健康診断の項目に「尿中の糖及び蛋白の有無の検査」を挙げています。[労働安全衛生規則] 私が困るのはこの場面です。カルテに一言残していただけると、必要なときの説明にとても助かります。入院や手術の際には、病棟にも知っておいていただく必要があります。尿閉は「麻酔と手術のあとによく起こり」、[Baldini 2009] 病棟のトイレは私には公衆トイレです。

排尿恐怖症ではない二つのこと

脇腹や背中の痛みを伴う高熱は排尿恐怖症ではなく、上部尿路感染を疑わせます。[EAU 2026] ガイドラインは、閉塞性のものをできるだけ早く見分けるよう求めています。急速に敗血症に至りうるからです。[EAU 2026]

公衆トイレで出せず、家で出せるのは緊急事態ではありません。自宅を含めどこでも突然まったく出せず、膀胱がいっぱいで痛いのは緊急事態です。[NIDDK 2019] 急性尿閉で、原因が何であれ [NHS inform 2026]、この状態でも救急の受診が必要です。

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